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『天気の子』新海誠監督 単独インタビュー

国内興行収入およそ250億3,000万円を記録した
『君の名は。』を手がけた新海誠監督の

最新作『天気の子』は、
天候の調和が狂っていく時代に、
運命に翻弄された少年と少女が
自らの進む道を選択していくストーリーだ。

前作が歴史的なヒットを記録しただけに
否が応でも注目を浴びる今作だが

「観客とのコミュニケーションを図りたかった」
とあえて“賛否”が巻き起こるような
チャレンジを施したという。

その真意はどこにあるのだろうか。
新海監督が胸の内を語った。



Photo_20190808093801

賛否両論が巻き起こる=観客とのコミュニケーション

Q:製作報告会見で、
エンターテインメント作品でありつつ、
観客に「投げかける部分が大きな作品」
と話していましたが、
そこにはどんな真意があるのでしょうか?


いま映画の鑑賞料金も上がり、
劇場に足を運んでいただけるお客さんには、
とにかく楽しんでもらいたい、
特別な体験をしてもらいたいという思いが強いんです。

そんななか『君の名は。』では、
喜怒哀楽の感情を多くの人に届けられた
という実感を味わうことができました。

今回、東宝の夏休み映画のド真ん中
という大舞台だからこそ、
そこからさらにもう一つ、
より強く観客とのコミュニケーションが
とれるような作品にしようと考えたんです。



Q:「観客とのコミュニケーション」というのは?

僕らにとって、
お客さんとのコミュニケーションというのは
「いろいろな意見をいただく」ということです。

ある意味で“賛否両論”が巻き起こるというのも、
作り手にとってはすごく面白いことなんです。

実際『君の名は。』のときも、
賛否ははっきり分かれましたし、
ずいぶん批判もされました。

でもそれはありがたかった。

今回は『君の名は。』よりもさらに大きな舞台。
問題を投げかけたとき、
いままで以上に大きな波が起きるのかな
という期待もありました。



Q:新海監督の以前の作品も、
ある意味でいろいろな議論が起きる
作品が多かったような気がします。


そうですね、キャリアの浅かったときから、
せっかく作品を観にきていただけるなら
一つぐらい泣いてほしいとか、
ゾクッと鳥肌が立つぐらいの映画体験を
してもらいたいなという思いは常に持っていました。

主人公を完全に理解していなくても問題はない



Q:主人公の帆高とヒロインの陽菜。
演じているのは醍醐虎汰朗さんと
森七菜さんというフレッシュな二人でした。


この作品はキャラクターありきではなく、
「天気」というモチーフが最初にあった。

そのために生まれたキャラクターだったので、
役割は変わっていませんが、
内面や行動については
最初はクリアではなかったんです。

そんななか醍醐くんと森さんに決まって、
徐々にキャラクターの精度が高まっていきました。

最終的に帆高ってこんな子なんだ、
陽菜ってこういう行動をするんだというのは、
彼らが約1か月アフレコをやっていくうちに
固まっていったんです。

Photo_20190808093901

Q:キャラクターがきっちり決まっていない
なかで進んでいくというのは、
新海監督のやり方なのでしょうか?


あえてそうしているわけではないですが、
例えばヒロインがどんな女の子か、
監督が把握していないというのは、
それほど悪いことだとは思っていません。

音楽や発する声によっても
キャラクターは変化していくし、
いろいろな人の思いの集合体として
そこに存在することは、
作品にとってすごく良いことだと思っています。




Q:醍醐さんと森さんに演じてもらっていかがでしたか?

彼らが演じてくれてとても良かったです。
特に森さんの演技は
「陽菜というのはこういう子なんだな」
と教えてくれるような説得力がありました。



『君の名は。』があったから自由にやらせてもらえた制作現場

Q:本作を制作するにあたり、
『君の名は。』という作品を経験したことによる
メリットは感じましたか?


はっきりとありました。
試写を行わず、ギリギリまで制作をやらせてもらえたのは
『君の名は。』のヒットのおかげだと思います。

期待値は上がりましたが、
そのぶん、許されることも増えました。

制作過程においては本当に自由にやらせていただき、
100パーセント自分が作るべきと思える作品が完成しました。

キャスティングも物語の終わり方も、
一切縛りはなかったです。



Q:デメリットと感じることは?

制作に関してはメリットばかりだと思っています。
前作で1,900万人という想像もできないような数の
観客の方と出会うことができたのも大きかったです。

ただ、デメリットという言葉ではないのですが、
今作のタイアップ企業の数や、
宣伝規模の大きさなどを客観的に見ると

「大丈夫かな、責任とれないよ」
という興行的なプレッシャーはかかりますよね(笑)。

僕に数字的な義務はないですが、
やっぱり責任は感じるので、ドキドキしますよね。



Q:ご自身を取り巻く環境も
大きく変わったのではないでしょうか?


自分自身の内面は大きく変わっていないのですが、
単純にちょっと人生が窮屈になったかなというのはあります(笑)。

例えばSNSを使っていても
ポジティブとネガティブな側面がありますよね。
常に誰かに見られているという気持ちにはなります。



Q:確かにSNS上での盛り上がりも
『君の名は。』はすごかったです。
ファンの分析や考察もディープでした。


すごいなと思います(笑)。
映画って、テレビシリーズやマンガ連載と違って、
2、3年かけて制作して公開したものがすべてなんです。

出来上がってしまっているものなので、
軌道修正ができない。

だからあらゆる描写について、
考え抜いた表現をしているんです。

それでも予想外の意見や批判がある。
そこが面白さでもあり怖さでもあります。

考察についても、かなり踏み込んだものもあり、
こちらの意図が伝わっているものや、
それを超えているものもあります。


『君の名は。』に瀧と三葉がカタワレ時に
出会うシーンがありますが、
古事記にある「国生み神話」を
モチーフにしているという考察もあって……
マジかって思ったりしました(笑)。



リアルな街の描写は、
現代と地続きの物語と意識してもらうため

Q:聖地巡礼というのも、大きな話題になりました。
新海監督の作品には、いつも「新宿」が出てきますね。



今回は新宿じゃなくてもいいかな
という思いもあったのですが、
ストーリーのなかで、
良い場所はどこかなと探しているなか、
一番イメージがピッタリあったのが
新宿近辺だったんですよね。

現代の東京を舞台にする以上、
現在と地続きの物語だと思ってもらいたいので、
どうしても現実の場所がベースになります。

その副産物として“聖地巡礼”
というものになっているのかなという感覚で、
制作上、あまり意識はしていないです。



Q:ロケハンはご自身で行うのですか?

スケジュールなどの都合にもよります。
自分で行く場合もあれば、
スタッフに行ってもらうこともあります。

今回は、街歩きの先生にもコンタクトを
とっていろいろと案内していただき、
陽菜の家の周囲のロケーションは固めていきました。

ロケハンなどのプリプロ(ダクション)は、
苦しい制作作業が始まるまえなので、楽しいです(笑)。




映画公開直前に行ったインタビューに
「少しナイーブになる時期なんですよね」
と率直な胸の内を明かした新海誠監督。

久々に娘さんと『君の名は。』を少し鑑賞して
「前作はよくできていたな」と実感し、
やや落ち込んだという。

『君の名は。』の次にふさわしい題材を見つけ、
前作を超えるべく、
すべてを費やして完成した『天気の子』。

出来には自信を持ちつつも、
日本だけではなく世界規模で展開する興行に、
少し心が落ち着かないようだった。

それでも
「劇場に足を運んでくれた人に損をさせたくない」
と思いを込めた作品は「賛否は大歓迎」というように、
どんな形でも観客の心に強く残る作品となっている。

(C) 2019「天気の子」製作委員会
映画『天気の子』は全国公開中

<<出典元>>https://www.cinematoday.jp/interview/A0006781

<<画像出典元>>
https://collabo-cafe.com/events/collabo/tenkinoko-your-name-uniqlo-t-shirt2019/
https://www.asahi.com/articles/ASM7S622TM7SPTFC00F.html


『君の名は。』 ~ククリの日、時空を超えたメッセージ~
http://salon-oasis.cocolog-nifty.com/blog/2016/09/post-e616.html

 

 

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