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『ポビドンヨードによるうがいは新型コロナを改善させる』は本当か?医師が解説

2020年8月4日

大阪府の吉村府知事から、

 

『ポビドンヨード(商品名イソジン)の

 うがいで新型コロナウイルスの量が減る』

 

もしくは

 

『重症化を防ぐ』という

趣旨の発表があり波紋を呼んでいます。

 

発表後の状況をみると、

現場からみるとちょっと心配になる

情報発信ではと思い、

医師の目から解説してみようと思います。

 

 

ポビドンヨードによるうがいは、

『風邪予防に有効ではない』という研究結果があります

 

医療者のなかで、とても有名な研究があります。

 

『風邪を予防するために、

 どんなうがいをすればいいか』

というテーマの研究です。

 

その研究には、

健康な大人387人が参加しました。

 

 

そして、

 

1)水でうがいをするグループ、

2)ポビドンヨードでうがいをするグループ、

3)特にケアをしないグループ(対照群)

 

にランダムにわかれ、

 

その後60日間で

どれくらい風邪をひくリスクが変わるか

というテーマで検討されました。

 

 

すると、水のみでうがいをすると、

うがいをしないグループよりも

風邪にかかる確率が下がったものの、

 

ポビドンヨードでうがいをするグループは

効果が認められなかったのです(※1)。

 

(※1)American journal of preventive medicine 2005; 29:302-7.

 

 

ポビドンヨードは確かに、

細菌やウイルスをつよく叩く効果があります。

 

しかし、水のみのうがいのほうが

ポビドンヨードのうがいよりも有効だった

ということになったのです。

 

 

なぜでしょうか?

 

ポビドンヨードは強力な殺菌性ゆえに、

のどや口の中にもともといる

『正常な細菌』をも叩いてしまい、

 

さらには

 

粘膜なども痛めてしまうからと

考えられています。

 

強すぎるゆえに

『総合的には効果が相殺されてしまう』

のですね。

 

 

また、一般的に、

ポビドンヨードのうがい薬の安全性は

高いと考えられますが、

長期使用に関しては

甲状腺機能を障害する可能性が指摘されています。

 

そのため、

長期に使い続ける場合は

定期的な検査が推奨されます(※2)。

 

(※2)Sato K, et al. Internal Medicine 2007; 46:391-5.

 

新型コロナのPCR検査が陰性なら、新型コロナによる悪化が減らせる?

 

 

今回の報道をみるかぎり分かることはひとつです。

 

『ポビドンヨードによるうがいをすると、

 一時的に唾液(つば)の中の

 新型コロナの量が減るということ』です。

 

ここで注意したいことがあります。

 

『唾液(つば)の検体で

 PCR検査が陰性化すること』と、

 

『新型コロナによる悪化を防ぐか』は、

似ていますが、同じではないということです。

 

 

たとえば、こんな有名な研究があります。

 

心筋梗塞の後に、症状がない

 

もしくは

 

症状が軽い不整脈(心室期外収縮)

がある方を対象にして、

 

不整脈を減らすための薬を使って

不整脈を減らすと、

亡くなる方が減るのではないか

というテーマの研究です。

 

 

すると、

不整脈の薬を内服された方のほうが

不整脈が減ったのに、

むしろ不整脈で亡くなる方は

増えてしまったのです(※3)。

 

(※3)N Engl J Med 1991; 324:781-8.

 

 

もちろん、不整脈薬が

全部わるいという意味ではありません。

 

メリットが大きい場合は

薬も必要なのですが、

検査結果を良くしても

最終的にはデメリットが大きくなってしまう

可能性もあるということです。

 

 

私も、ポビドンヨードによるうがいで

感染が少なくなればいいなと思っています。

 

しかし今のところ、

ポビドンヨードによるうがいに関しては、

 

『答えを明確に出せない、もしかすると

 長期的な使用で害もあるかもしれない』

方法かもしれないと心配しています。

 

 

『うがいでPCR検査が陰性化』

をどのように捉えればいいでしょうか?

 

ここで、ちょっと例えをだしてみましょう。

 

あなたが、『インフルエンザかもしれない』

と病院に行ったとしましょう。

 

その受診したときの医師に

『ちょっとうがいをしっかりしてみてください』

と指示されて、

 

しっかりとしたうがいをしたとして、

その後にインフルエンザの検査をのどで行い、

その検査結果が陰性だとしましょう。

 

 

『陰性ですね。インフルエンザではありません』

と、あなたは診断されました。

 

 

どう思うでしょうか?

 

あなたは、

『鼻で検査をしたら陽性にならないんでしょうか?』

 

と思わないでしょうか(※※)?

 

 

繰り返しになりますが、今回の報道は、

唾液の中の新型コロナが減っても、

その後の新型コロナによる悪化が

防がれるという研究結果ではないのです。

 

検査の陽性率が下がった、という結果です。

 

 

うがいによって、

一時的に新型コロナが検出されにくくなった

だけなのかもしれないのです。

 

なお、新型コロナに関して、

『予防的・定期的なポビドンヨードの

 使用が有効かどうか』

は現在2本の研究が進行しているようです。

 

これらの結果をみてからでも遅く

はないように思います(※4)(※5)。

 

(※4)https://www.clinicaltrialsregister.eu/ctr-search/trial/2020-001721-31/GB

 

(※5)https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04364802

 

 

うがいは、

『一時的に人に感染させるリスクを減らす』

にはいいかもしれない

 

ポビドンヨードでうがいをする場面は

どんな場合でしょうか?

 

たとえば、飛沫のなかに含まれる

新型コロナの量を短時間減らし、

 

『飛沫による拡散を一時的に減らす』

効果を期待するときでしょう。

 

 

たとえば、

『新型コロナにかかっているけれども、

 無症状のひと』が3~4割いると推定されています。

 

ですので、エアロゾルが沢山でそうな

処置をしなければならないなら、

その前にうがいをしっかりすると

いいかもしれませんよね。

 

 

実際に、歯医者さんでの処置の前に

うがいをしっかりすると、

歯科医への新型コロナの感染リスクを

低減するかもしれないという考え方も

報告されています(※6)。

 

(※6)Journal of Oral Microbiology 2020; 12:1794363.

 

口の中を清潔に保つ、『口腔ケア』は重要です

 

 

一方で、体調を崩したときに、

口の中の清潔をたもつ『口腔ケア』は重要です。

 

新型コロナに限らず、

歯磨きなどで口の中の清潔を保つと、

肺炎などのリスクが下がることがわかっています(※7)。

 

(※7)Br Dent J 2017; 222:527-33.

 

 

ですので私は、

PCR検査を陰性化させることが目的というより、

口のなかの清潔を保つことの方を

優先するといいのではないかと思っています。

 

つまり、普段から丁寧にうがいしたり

歯磨きをしたりをしておくといいのでは

ということですね。

 

なお、ポビドンヨードの転売は、

法律違反になります。

 

転売された製品を見かけても

購入しないようにしましょうね(※8)。

 

(※8)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

 

※※インフルエンザによる検査は、

のどで検査をすると偽陰性

(ほんとうは陽性だけれども、

 検査では陰性と誤って出てしまう)

になりやすいですので、

普通は鼻から検体をとります。

 

<<出典元>>https://news.yahoo.co.jp/byline/horimukaikenta/20200804-00191721/

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